解2-cosの積の和の計算の解説
さて……
問2の解説をしていきます.
ぜひ最後までお付き合いください.
今回の問題は任意の異なるcosの積の和を計算するもの.
この問題は気づけばそう難しくありません.
難度Bといったところでしょうか?
とりあえず,解答.
★解答★
上の展開公式より,次の式が得られる.
ここで,0<θ<πのときcosθ+cos(π-θ)=0なので,nが奇数のときと偶数のときに分けて計算すると,
であることがわかる.ここで,
として次の式を計算する.
よって,
であるので,
と求まった.
★★★★
の計算が技巧的でしたが,cosの位相が等差数列であるものの和の計算は有名で,大学入試でもよく出題されます.
解答と同じようにして次の式も計算できるので確認しましょう.
さて……
問2は三角関数の知識だけで解けましたが,次の式はそうもいきません.
というのも,展開公式を使おうとすると計算が煩雑になってしまうからです.
難度Cです.
そこで,今回は次のように考えます.
方程式の解と係数の関係を使って解きます.
ちなみに,問2も次のようにして計算できます.
そして,この計算をするうえで大切な式がChebyshevの多項式(チェビシェフの多項式)です.
まず,次の式を考えます.
このとき,
が成り立つので,この両辺をsin xで割ると,
という漸化式が得られる.
なので,任意のnに対してf_n(x)はcos xのn次式になることが帰納的にわかる.
そこで,次の式でg_n(x)を定める.
すると,g_n(x)はxのn次式となる.
このg_n(x)をChebyshevの多項式と言います.
Chebyshevの多項式には様々な性質がありますが,まずはf_(n-1)(x)=0の解xがどのようなものか調べてみましょう.
f_(n-1)(x)=0かつsin x≠0のとき,
なので,
となる.すなわち,方程式g_(n-1)(x)=0の解は,
となるので,Chebyshevの多項式を調べればこの問題は解けます.
そしてもう1つ.
Chebyshevの多項式を列挙してみましょう.
4つ列挙しましたが,何か気づきましたか?
……実は,
- nが偶数のとき,xの奇数乗の係数は0.
- nが奇数のとき,xの偶数乗の係数は0.
となっているのです!
これは帰納法で示すことができます.
すなわち!!
となっているのです.
ちなみに,
となっているので,ぜひ確かめてみてください.(漸化式から計算できます)