としなかの数学ブログ

数学について語ります

解1-回転体の体積の最小値を求める問題の解説

さて......

朝に投稿した問題の解説をしようと思います.

 

 

これは,f(x)積分を用いてf(x)^2積分を評価する問題です.

このサイトで投稿する問題としては,簡単な問題に分類されるかな?

とりあえず,難度Bとします.(A~Eの五段階評価)

 

というわけで,まずは解答.

 

解答

まず,次の不等式が成り立つ.

これを展開すると,次のようになる.

両辺を区間[0,1]で積分する.

よって,

となり,回転体の体積は少なくともπ以上である.

ここで,f(x)=1とすると,

となるので,回転体の体積の最小値はπである.

★★★★

 

こうして,問題は解けました.

以下,解説です.

 

この問題の背景には次の不等式があります.

Schwarz不等式

これは,Schwarz不等式(シュワルツの不等式)と呼ばれます.

この不等式でg(x)=1とすると,今回の問題で使うことができます.

 

この不等式は,Cauchy-Schwarz不等式(コーシー・シュワルツの不等式)と本質に変わりはありません.

Cauchy-Schwarz不等式

Cauchy-Schwarz不等式は知っている人も多いと思います.

高校数学では,n=2,3のときについての証明がよく取り上げられます.

とても有名な不等式のため多くのサイトで取り上げられているので,証明を知りたい人は検索するといいでしょう.

 

今回は,積分形のSchwarz不等式を示したいと思います.

 

証明

tを実数とする.このとき,次の不等式が成り立つ.

これを積分して展開すると次のようになる.

これをtについての二次方程式とみると,これは重解を持つか,虚数解を持つかのどちらかである.よって,判別式は0以下となる.したがって,

となり,与式は示された.

★★★★

 

積分形のSchwarz不等式を使う場面は多くはありませんが,Chauchy-Schwarzと一緒に覚えていてもいいでしょう.